78CDR-3824
機械式録音盤(電気式録音以前)を含む復刻音源
モーツァルトも気に入ったフランス生まれの流行り歌「きらきら星」
(ああ、お母さん聞いて)
1911年-1953年録音
「きらきら星」は18世紀の後半にフランスで流行したシャンソン(作曲者不明)
"Ah, vous dirai-je, maman" 「ああ、お母さん聞いて」が原曲。元のメロディは1740年頃生まれ、作曲者不明(ジャン・フィリップ・ラモー 1683-1764 説あり)のまま流行りだし、歌詞のない楽譜が1761年に出版された。いくつかの歌詞がつけられて、その中のひとつが「ああ、お母さん聞いて」だった。モーツァルト(1756-91)がこの曲を聞いて気に入りピアノ曲「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲ハ長調 K.265を1780年頃作曲した。一方イギリスでは女流詩人ジェーン・テイラー(1783-1824)が1806年に "Twinkle, twinkle little star" 「きらきら星」の英語詩をつけた。それが童謡として広まり、さまざまな言語に翻訳され世界中で愛唱されている。さらにフランスの作曲家アダン(1803-1856)は喜歌劇「闘牛士」の中に「ああ、お母さん聞いて」をアリアと変奏曲として取り入れた。日本では1914年(大正 3年)に共益社書店発行の「英語唱歌教科書巻一」に近藤逸五郎(朔風)(1880-1915)訳詞で掲載された。その後多くの日本語訳詞が出ている。
復刻には「音のエジソン」
http://www.otono-edison.com/ のSPレコード専用MC型カートリッジ(3ミル針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。
(1)フリーダ・ヘンペル(ソプラノ)デ・フリース(フルート助奏)
Gramophone Monarch Record 033114(Fr)1911年2月4日ベルリン録音(機械式録音)
フリーダ・ヘンペル(1885-1955)はライプツィヒ生まれ。ベルリンのシュテルン音楽院で学び、1905年にシュヴェリンでデビューした。ベルリン宮廷歌劇場、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、シカゴ歌劇場に所属した。
(2)アメリータ・ガリ=クルチ(ソプラノ)クレマン・バローン(フルート助奏)
VICTROLA 74734(U.S.)1921年9月8日キャムデン録音(機械式録音)フランス語歌唱アメリータ・ガリ=クルチ(1882-1963)はイタリア、ミラノ生まれのコロラトゥーラ・ソプラノ。ローマのコンスタンツィ劇場でリゴレットのジルダ役で注目される。アメリカに渡り、シカゴ歌劇場、メトロポリタン歌劇場で絶賛された。1930年頃に喉を傷め手術を受けたが回復せず、1936年に引退した。
(3)アンナ=マリア・グリエルメッティ(ソプラノ) オーケストラ伴奏
COLUMBIA J5120(JP)1928年5月11日 電気録音 イタリア語歌唱
アンナ=マリア・グリエルメッティ(1895?-1982)は1915年頃デビュー、ヨーロッパ各地で歌ったあと1927年コヴェントガーデンにゲスト出演した。イタリアCOLUMBIAに7枚の録音を残した。これは日本コロムビアから戦前発売された一枚。
(4)アダ・サリ(ソプラノ)カール・アルヴィン指揮管弦楽団
GRAMOLA ES459(Czechoslovakia)1928年11月8日録音(電気録音)イタリア語歌唱
アダ・サリ(1886-1968)はポーランドのオペラ歌手、女優で教育者。20世紀前半に彼女はヨーロッパの歌劇場やコンサート・ホールのステージで絶賛された。ウィーンやミラノで声楽を学んだ後、ローマでデビュー。ヨーロッパ各地の舞台を踏んだ後、南米杜北米で名声を高めた。その後ワルシャワに戻り教育者に専念し1968年に没した。1985年以来「アダ・サリ声楽コンクール」が開かれている。
(5)ミリッツァ・コリュス(ソプラノ)J ・ミュラー指揮ベルリン放送 ORCH.
HMV C2688(U.K.)same as ELECTROLA EH-876(Germany)
1934年3月ベルリン録音(電気録音)ドイツ語歌唱
ミリッツァ・コリュス(1909-1980)はポーランド生まれのエストニアのコロラトゥーラ・ソプラノ。1930年代に「ベルリンのナイチンゲール」と呼ばれヨーロッパで屈指のコロラトゥーラ・ソプラノだったが、後にアメリカに移住し映画にも出演した。映画「グレート・ワルツ」で1938年度アカデミー助演女優賞を受賞した。
(6)ルネ・ドリア(ソプラノ)タッソー・ヤノプロ(ピアノ)フルート助奏付
PATHE PD114(France)1949 年パリ録音(電気録音)フランス語歌唱
ルネ・ドリア(1921-)はフランスのペルピニャン生まれのソプラノ。1947年にパリ・オペラ座で「魔笛」の夜の女王でパリ・デビュー。これはドリアの初録音の中の一枚。LP時代になって数多くのオペラ全曲盤に出ている。ピアノのタッソー・ヤノプロ(1897-1970)はエジプト生まれ。フランスに帰化しピアノ伴奏者としての地位を確立した。ティボー、ヴァラン、シェリング、フルニエ、トルトリエ等の伴奏者をつとめた。
(7)鈴木鎭一(ヴァイオリン)古畑歌子(ピアノ)(Bonus Track)
日本コロムビア AK260 1953年頃録音
レーベルに「才能教育研究会編」「鈴木鎭一ヴァイオリン指導曲集レコード」とある。鈴木鎭一(1898-1998)はヴァイオリン奏者で音楽教育者。ベルリン高等音楽院教授カール・クリングラー(1871-1971)の個人指導を受けた。スズキ・メソードの創始者。