78CDR-3818
機械式録音盤(電気式録音以前)の復刻音源
20世紀初期に活躍した名歌手による「夏のなごりのばら」(庭の千草)
マルセラ・ゼンブリッヒ(ソプラノ)
ルイーザ・テトラツィーニ(ソプラノ)
グレーテ・シュテュックゴルト(ソプラノ)
アメリータ・ガリ=クルチ(ソプラノ)
1907-1928年録音
「夏のなごりのばら」(庭の千草)はアイルランドの詩人トーマス・ムーア(1779-1852)がアイルランドの民謡に詩をつけて1805年に発表した。この美しいメロディはドイツの作曲家フリートリヒ・フォン・フロトー(1812-1883)の歌劇「マルタ」のアリアにとり入れれた他、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、パガニーニ等も編曲や変奏曲に使った。日本では1884年(明治17年)に文部省唱歌に選定された。翻案は里見義(さとみただし 1824-1886)。当初のタイトルは「菊」だったが、歌詞の冒頭の「庭の千草」がいつしか曲名になり、唱歌のひとつとして広く親しまれた。
復刻には「音のエジソン」
http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用MC型カートリッジ(3mil針)とコルグのNu1 DSD録音機を使用した。
(1)マルセラ・ゼンブリッヒ(ソプラノ)
VICTOR 88102(U.S.) 1907年10月9日キャムデン録音(機械式録音)
マルセラ・ゼンブリッヒ(1858-1935)はポーランド生まれ。幼少の頃父親からヴァイオリンとピアノを学び、10歳でレンベルグ音楽院に入った。1877年オペラ・デビューをして、ヨーロッパ各地を回り、1883にアメリカに渡りメトロポリタン歌劇場にデビューした。1907年にVICTOR社で録音を始めた。この録音は彼女の最初期ものだが、録音時彼女は49歳だった。
(2)ルイーザ・テトラツィーニ(ソプラノ)
VICTOR 6343A(U.S.) 1911年3月15日キャムデン録音(機械式録音)
ルイーザ・テトラツィーニ(1871-1940)は国際的に名声を得たイタリアのソプラノ。フィレンツェに生まれ3歳から歌いはじめたと伝えられる。1890年フィレンツェでマイアベーアの歌劇「アフリカの女」のイネス役でオペラ・デビュー。その後ヨーロッパと南北アメリカで大成功し、レコードも1904年から1920年にかけて数多く吹き込まれた。すべて機械式録音。引退後は後進の指導にあたった。
(3)グレーテ・シュテュックゴルト(ソプラノ)
VOX 02117B(Germany) Matrix:1218A
グレーテ・シュテュックゴルト(1895-1977)はロンドン生まれ。1927年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場でワーグナーの歌劇「ニュルッンベルクのマイスタージンガー」のエヴァ役でデビューし、1929年にはベルリンでパウル・ヒデミット(1895-1963)のオペラ「今日のニュース」の初演で主役をつとめた。ドイツのVOXレコードは1921年にベルリンで設立された。1924-25年頃ウェスタン・エレクトリックとは別の方式の電気録音(おそらく米ブランズウィックの開発した "ライト・レイ" 式電気録音と思われる)を始めたと伝えられるが1926年に倒産した。これはそのライト・レイ式電気録音と思われる。
(4)アメリータ・ガリ=クルチ(ソプラノ)
VICTOR VE1001B(JP) 1928年9月5日N.Y. 録音(電気録音)
アメリータ・ガリ=クルチ (1882-1963)はイタリアのミラノ生まれのコロラトゥーラ・ソプラノ。1906年トラーニで「リゴレット」のジルダ役でオペラ・デビュー。以降20世紀初頭の最も偉大な女声声楽家の一人に数えられている。ガリ=クルチは1917年の機械式録音でこの曲を録音していたが、これは電気録音初期の吹き込み直し盤。