78CDR-3678
信時 潔
組曲「沙羅」 清水重道(詞)
丹澤
あづまやの
北秋の
沙羅
鴉
行々子
ゆめ
占ふと
北原白秋(詞)
つなで
幻滅
をみな子よ
木下 保(テノール)
水谷達夫(ピアノ)
ニッチク(日本コロムビア)90634/6
録音:1943年12月1日
(SPレコード特有のノイズがあります)
作曲者の信時潔は幼少より讃美歌に親しみ東京音楽学校(現東京藝術大学音楽学部)に入学、チェロをハインリヒ・ヴェルクマイスター(1883-1936)に、指揮法をアグスト・ユンケルに学んだ。1920年ドイツに留学しゲオルク・シューマン(1866-1952)に師事した。「沙羅」は1936年の作品。
テノールの木下保(1903-1982)は兵庫県富岡市出身。1926年に東京音楽学校を卒業。1932年から1935年までドイツとイタリアに留学した。帰国後、母校の声楽科主任教授になり、日本人作曲家の作品も多く取り上げた。「沙羅」の初演者で、信時潔のカンタータ「海道東征」(神武天皇を題材とした作品)の初演指揮者もつとめた。ピアノの水谷達夫(1911-1998)は東京音楽学校でレオ・シロタ(1885-1965)に師事し、卒業後長く母校で後進を指導をした。
この録音は第2次世界大戦中の1943年(昭和18年)12月1日に行われた。日本コロムビアはニッチクと改名し、レコード材料の不足から返品レコードを再利用していた時代のものである。ノイズが大きいのはその所為だが、録音そのものは見事である。時代背景はレコードどころではなかったのに、よくぞこのような作品を残してくれたと頭が下がる。